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河井継之助記念館 嘆願書の意訳

河井継之助記念館

嘆願書の意訳

 

新政府軍に提出した嘆願書と意訳が記念館にあります。
見てきましたが、それを文字起こししてノートにしました。

嘆願書と意訳はネットにはあまりありません。

河井継之助(差出人は藩主の牧野駿河守忠訓)の赤心が読み取れます。

このような人物を国士と言うのでしょう。

 

 


この春、朝廷から徳川家を追討するご命令がありましたが、私どもいままで臣下の一人として仕えた者としては、恩を忘れて主君に鉾を向けることなど決してできるものではありません。

 


現在の諸国の大名の態度を見ておりますと、日本国が従来持って人の道を守る心は、捨て去られたように思います。

 


私は領内の十余万人が、職業に精励して経済が豊かになり、安心して生活できるようにすることが天職だと思っています。

 


それぞれの藩が、そのように考えることがひいては国全体の平和と繁栄につながることでしょう。

そんなことも分からない人たちが戦争をしかけてくるのであれば、義理を守り力を尽くして戦い、滅亡しても仕方ないことだと覚悟しています。

 


しかしながら強い方につこうと日和見の態度を取って、戦いに巻き込まれて領民を苦しめ、藩も滅亡し汚名だけ残すこととなればもっとも申し訳ないことだと思っております。

 


私どものような小藩でも一致して倹約につとめ、産業を興せば、三年のうちには海軍を備えることもできましょう。

それなのにこのような情勢となって、いたずらに戦争によって領民を苦しめ、農作業を妨げ、国を疲弊させてしまうのは、本当に悲しむべきことです。

 


このことはすでに、朝廷にも、徳川氏にもご意見申し上げたのですが、どちらからも回答はありませんでした。

そこで、私はやむを得ず、ただただ領民の平和を維持することに専念しているのであります。 

 


このようなことを、私どもは決して一藩のためだけに申し上げているのではありません。

いまこそ、日本国中で協力し、世界の恥さらしにならないような強国をつくり上げることが大切です。

 


情勢は切迫していますから、この真の心をぜひご採用になっていただければありがたく思います。

 


慶応四年五月

牧野駿河